ノーベル賞で理転した人(自分)のお話
高校一年生のことだった。
名大の野依教授がノーベル化学賞を受賞した。そして、そのあとの高校の化学の授業が、自分の人生を大きく変えた。
「野依教授のノーベル賞受賞の理由は、異性体の片方だけを生成する方法を開発したんだ」
化学の先生がちょっと興奮しながら言ったこの一言で、私は理系に進むことになった。
それまでの自分は、完全に文系だった。苦手な教科は数学理科。得意科目は日本史で、理系科目にはまったく興味もなかったし、何のために勉強するのか、わからなかった。
でも野依教授の話を聞いて、化学に興味がすこしずつ出てきた。
いろいろあって、理系に進むことになった。
大学の専攻は結局数学だった。
確率論の華麗さ(離散的確率論のレベルだが)と、金融工学の文系チックな発想が楽しかったから
ようは、自分の興味の向くままに進んだだけ。
ノーベル賞がきっかけになって理転したわけだけど、後悔はしていない。
たぶんそのまま進んでいたら勉強できなかったことが勉強できたから。
むしろ、そういうルートをたどったせいで、理系文系の枠組みやら専門性やらに懐疑的になった。
今回の、京大・山下教授のノーベル賞受賞が、学生にどう影響するのか?
以前、予備校で働いていたとき、学生にこんな話をしていた
「高校までで学ぶことと、大学で学べることは根本的に違う。高校までは体系的に学べるものだけを学ぶ。それに比べて、大学ではこれから体系化されていくことも学ぶことができる」
なんかもう一度、本格的に専門書を読みたくなってきた。
学生時代と同じように、1ページずつ